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メッセージ

仲上教授からのメッセージ

仲上准教授
 

この度、令和4年4月1日に、真田弘美初代教授より教室を引き継ぎました、仲上豪二朗です。老年看護学分野は平成15年6月に開講されました。開講当時より、真田初代教授の強力なリーダーシップの下、高齢者の老年症候群に対する症状緩和の看護ケア技術の開発をテーマとし、老年看護学分野の研究課題として、特に寝たきり高齢者が頻発する褥瘡に関して、予測、予防、診断、治療方法をシステム化し、日本における褥瘡学の拠点として本講座の人員並びに研究環境を整備してきました。さらに、附属病院において褥瘡回診をはじめ、褥瘡対策委員として臨床活動にも参加してきており、以来約20年間継続しています。本取り組みにより、超音波診断装置による深部組織損傷のアセスメント技術や、ウンドブロッティングによる創傷バイオフィルムの迅速検出技術を開発し、国際ガイドラインに収載されるに至っています。また、政策にかかる研究も実施してきており、褥瘡対策未実施減算や褥瘡ハイリスク患者ケア加算の評価などを通じて本邦における褥瘡医療の定着を図ってきました。

生活習慣の変化により今後大きな問題となる糖尿病足潰瘍、老年症候群として重要な排泄障害に起因する失禁関連皮膚炎や、歩行障害に関連する静脈性下腿潰瘍、など、褥瘡以外の重要な難治性創傷に対する看護によるケア可能な技術を確立するため、平成18年度には創傷看護学分野が開講されました。さらに看護部と糖尿病代謝内科との協働で、糖尿病足予防外来を開設することで、創傷看護学の実践の場を整備した。糖尿病足潰瘍予防のための診療を通じてサーモグラフィや足底圧計測デバイスなど新たなモニタリング技術を開発してきました。

老年看護学/創傷看護学分野における臨床・研究活動を遂行することで、研究成果の社会実装が課題となってきました。そこでこのミッションを達成するために、臨床研究を基とし、分子生物学的および工学的視点を看護学に融合させた看護理工学領域を確立し、機械工学、情報工学、分子生物学等様々な自然科学系の学問分野との融合的研究が推進されました。患者の症状・徴候がどのようなメカニズムで生じているのかを検証する基礎的研究が看護学領域では世界的に不足していますが、当分野は分子生物学的手法を看護学に取り入れ、特に褥瘡発症や創傷感染発症の分子メカニズムの解明に大きく貢献しています。その成果を基に、臨床で利用可能なリスクアセスメントや同定技術を開発し、製品化するトランスレーショナルリサーチを多く実施してきました。

看護理工学の研究基盤の形成と、プロダクト開発の迅速化を目的に、これまでアドバンストスキンケア寄付講座(平成20年4月開設)、ライフサポート技術開発学(モルテン)寄付講座(平成22年10月開設)、社会連携講座アドバンストナーシングテクノロジー(平成24年12月開設)、社会連携講座スキンケアサイエンス(平成29年2月開設)、社会連携講座イメージング看護学(平成29年4月開設)を協力講座として開設し、臨床上の課題解決に必要となる学問を立ち上げてきました。産官学連携研究によるイノベーションを、異分野融合を果たしながら社会に発信してきています。

上記のように、真田弘美初代教授が醸成したリサーチマインドを涵養する場をそのまま引き継ぎ、次の破壊的イノベーションの創出を目指し、若い力を結集して老年看護学、創傷看護学、看護理工学に貢献し、人々の健康レベルの向上に寄与したいと思います。

仲上豪二朗

令和4年4月1日


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