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メッセージ

真田前教授からのメッセージ

真田教授

疾病構造の変化により、病気や障害とともに長い年月を生きる高齢者が増加しています。 高齢社会において個人の生活を支援する看護師の役割にはこれまでになく注目が集まっており、その可能性は甚大です。当教室では、創傷、糖尿病、失禁、栄養をキーワードに、看護学の視点から、より快適な高齢社会への貢献を目指しています。高齢者の QOL 向上を目標に、心身機能の維持と拡大を図り、自立と主体性を重視したニーズに着目し、特に褥瘡、失禁、低栄養、疼痛等の老年症候群について、予測、予防、診断、治療のための機器開発や技術開発に取り組んでいます。創傷を主軸とし、長年にわたって積極的にトランスレーショナルリサーチ(基礎科学の臨床応用を目指す橋渡し研究)を展開しています。分子生物学的レベルの基礎研究から産学連携による機器開発へ、さらに、臨床評価によるエビデンスの構築へと発展させ、研究成果を社会へと還元しています。

また、平成22年10月には、工学・理学などの自然科学を基盤に、生活に起因した健康問題を解明するとともに、直接介入を可能にする看護学的アプローチを創り出す新しい学問体系を目指し、「ライフサポート技術開発学(モルテン)寄付講座」を開設しました。この講座では、人間の日常生活行動に起因する様々な疾患や症候について、その原因を解明し、回避するための効果的なモニタリング・予防機器を開発します。その成果は、疾病の予防や早期 発見に新しい看護の方法論をもたらし、安心で快適な高齢社会を創出します。さらに、平成24年12月には、臨床現場を基軸とした看護技術を創生する学問領域として、「社会連携講座アドバンストナーシングテクノロジー(ANT)」を開設しました。この講座では、ケアを受ける人に「我慢させない療養生活を実現すること」を目的に、臨床現場のニーズに立脚し、大学の専門領域や企業が持つ知識と技術が融合した、新しい看護技術の開発を目指します。ANTは、臨床と大学の架け橋となり、テイラーメイドによる看護技術の開発を支援することで、看護の技術と臨産学連携にイノベーションをもたらし、国民の健康に貢献します。平成29年2月には、「社会連携講座スキンケアサイエンス」を開設しました。この講座では、生体で起きている現象を分子レベルで把握し,そのメカニズムに基づいた本質的な介入を実現します。看護学とバイオロジーの融合による新たな看護技術の創生は、療養者のウェルビーイングを向上させるのはもちろんのこと、サイエンスとしての看護学の発展に寄与するのは間違いありません。平成29年度4月には、「社会連携講座イメージング看護学」を開設しました。この講座では、最先端のイメージング技術と情報工学を用いて特別な技術を要することなく看護師のアセスメントを支援システムを実現します。イメージング技術による新しいシステムの構築だけでなく、病院や在宅の場での導入の方法論やその評価を通じて,臨床現場に立脚した世界初の看護アセスメントを大きく変える新しい学問の発信となるはずです。平成29年度4月からは、ケアイノベーション開発研究および看護システム開発研究を強力に推進するため「医学系研究科付属グローバルナーシングリサーチセンター」が設立されました。看護学を基盤にした異分野融合型イノベーティブ看護学研究を推進する若手研究者を養成し、最先端異分野融合型研究を推進しつつ、若手研究者育成のための教育コースの設計・カリキュラム作成(ポスドクプログラム)を行い、若手研究者を育成するためのセンターです。このセンターへの協力を通じて、若手研究者育成も実現します。

私たちは、これらの研究成果を、日本はもとより世界へと発信し続けます。また、次世代を担う研究者と教育者の育成を目指します。老年看護学、創傷看護学に必要な重点技術を集結し、グローバルな革新を目指します。そして、「年をとるのも悪くないな」と思える社会を、一日でも早く実現したいと思います。

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